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一般的な医療用シリンジとは、注射針のない筒状の製品で材質もガラスや樹脂製のものですが、ここでは医療用プラスチック.comの製品事例でもご紹介させて頂いている当社の医療用シリンジの特徴と成形におけるポイントをご説明いたします。
当社の医療用シリンジの特徴は
① 材質はポリプロピレン(PP)
② サイズφ8×16
③ 内側は抜きテーパー0
④ 薄肉
があげられます。それぞれのポイントは、下記の通りです。
①ポリプロピレンは一般的に医療用プラスチックで多く使われていて、耐薬品性に優れた材質であるため、薬品を内部に入れても変質せず安心して使用できます。
② 中身は使用時に加熱するため、薄肉にすることで熱伝導率が良くなります。
③ 中にピストンを入れるため、内側はテーパー0にする必要がありました。
④この医療用薄肉シリンジですが、薄肉にすることで偏肉に注意しなければなりません。偏肉とは側面の厚さの違いが、冷却時の収縮に差が生じて製品が曲がってしまいます。
続いて、当社の医療用シリンジの成形におけるポイントは、下記の3つであげられます。
①曲がりを抑えるために適正な圧力調整
②離型時のすりキズの発生を抑える設計
③金型コアへの温度調整
金型のコアとキャビのずれの精度も要因のひとつですが、成形条件でも過剰に圧力をかけてしまう事で曲がりが発生してしまいます。曲がりを抑えるために、圧力が弱すぎてもヒケによるボイドが発生するため、適正な圧力にする必要があります。
医療用シリンジの特徴として、内側は抜きテーパー0がありますが、離型の際のすりキズも注意しなければなりません。当社では多くの経験と実績から金型製作の際に、離型時のすりキズの発生を抑える設計をしておりますが、金型のコアの温度設定も離型には関係するため、成形条件とのバランスを考え、設定することがポイントです。適正な成形条件は金型の精度や使用される樹脂の特性、温度設定、条件のバランスなどさまざまな要因がありますので、ひとことでは申し上げられませんが、親和工業には専門知識が豊富な特級プラスチック成形技能士が在籍しており、お客様のご要望にお応えすることが出来ます。成形技術や条件設定にお困りの際もどうぞお気軽にご相談ください。