クリーンルームの運用の原則としては、クリーン度が下がる要因をクリーンルームの中から徹底的に排除しなくてはならないという点です。
しかしながら、医療用プラスチック成形においては、クリーンルーム内での生産が不可避ですので、クリーンルーム内に、射出成形機とその付帯装置を設置する必要があります。
そのため、必然的にクリーンルーム内でクリーン度を損なう装置に対して、対策を行う必要があります。

1.プラスチック射出成形機

高温になった樹脂から発生したガスによってクリーン度が下がります。プラスチック射出成形においては成形開始前にパージを行い、成形機のシリンダー内に滞留していた樹脂を排出することが必要です。しかし、この作業はクリーンルーム内のクリーン度を著しく低下させてしまいます。その対策として、発生したガスをクリーンルーム外に排出する装置をパージ部分に設置する必要があります。

2.金型メンテナンス

プラスチック射出成形においては、製品の品質、金型の耐久度、および金型寿命の維持のために、日常的な金型メンテナンスが必要となります。
しかし、金型メンテナンスに使用するクリーナー、潤滑剤、防錆剤、離型剤等の中には、クリーンルーム内のクリーン度を低下させる物があります。
その対策として、金型メンテナンスを行う際に、クリーンルーム外に金型を移動させて金型メンテナンスを実施します。クリーンルーム内で金型メンテナンスを行うのであれば、スプレータイプの潤滑剤やクリーナーではなく、アルコールにて金型のふき取りを行うなどがあります。

3.プラスチック射出成形機からの排気

プラスチック射出成形機には、自身の発生する熱を排出するために、多数のファンが取り付けてあります。プラスチック射出成形機の中に埃、塵などがたまっていた場合、ファンが空気を巻き上げ、クリーンルーム内に埃や塵が拡散されてしまいます。埃や塵が積もりやすいファンを中心とし、成形機内の清掃を日々行うことが重要になります。

4.プラスチック原料

クリーンルーム内にプラスチック原料を持ち込み、また、プラスチック射出成形機への供給時にクリーン度が下がります。その要因として、以下の2つがあります。

①プラスチック原料袋、および、プラスチック原料自身
プラスチック原料の袋は紙袋のものが多く、紙はクリーン度を下げる原因となります。また、プラスチック原料自身も微細な粉末が付着しており、投入時にクリーン度低下のリスクがあります。
その対策としては、材料タンクはクリーンルーム外に設置し、材料供給装置を使用して射出成形機のホッパーに供給します。

②材料供給装置
材料タンクから、プラスチック射出成型機のホッパーへは、材料供給装置によってプラスチック原料が供給されますが、この材料供給装置の排気によってクリーンルーム内のクリーン度が低下します。材料供給装置のフィルターにHEPAフィルターを用い、クリーン度の低下を防止しています。