加熱シリンダーの温度設定の許容範囲が重なる場合

樹脂の種類が違う成形工程を続けて行う場合、加熱シリンダー内の樹脂を置換させる必要があります。例えばPOM(180°~ 210°)からPP(160°~ 250°)に置換させたい場合、加熱シリンダーの温度を190°に設定しPOMがなくなるまでパージします。加熱シリンダーの温度は190°のままPPを投入し完全にPPに置き換わるまでパージを行います。
加熱シリンダー内の樹脂が完全に置換された後、PPの成形温度に変更します。

加熱シリンダーの温度設定の許容範囲が重ならない場合

樹脂の種類が違う成形工程を続けて行う場合、加熱シリンダー内の樹脂を置換させる必要があります。例えばPC(280°~ 320°)からABS(190°~ 250°)に置換させたい場合、加熱シリンダーの温度を300°に設定しPCがなくなるまでパージします。加熱シリンダーの温度は300°のままPCとABSの温度設定許容範囲が重なる樹脂PE(170°~260°)を投入し完全にPEに置き換わるまでパージを行います。
加熱シリンダー内の樹脂が完全に置換された後、ABSの成形温度に変更しABSを投入し加熱シリンダー内のPEがなくなるまでパージします。

樹脂交換で樹脂の置換度の調べ方

樹脂交換を行った際、樹脂の置換度を調べるにはパージにより出された樹脂の外観、透明度、色調などを確認します。またノズル先端より射出された溶融樹脂を確認し溶融樹脂の中に細い糸状の縞がなければ樹脂の置換が完了と判断出来ます。糸状の縞が残っているようなら置換が不十分と言えるでしょう。

上記の知識を身に着けておくことで、複数の材料を1台の射出成形機で成形する際に、スムーズな材料変更を行えます。これらの温度設定等を間違える射出成形のスクリューを痛める原因の一つになることがあります。