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射出成形に使用される樹脂材料の種類によって、成形収縮率は異なります。材料の種類を比べるとそれぞれ違いがありますが、大きく分類すると、結晶性樹脂と非晶性樹脂では結晶性樹脂のほうが収縮率は高い特徴があります。

結晶性樹脂と非晶性樹脂の違いは、固化した際の分子の並びかたの違いです。樹脂の構成はポリマーとよばれる、長い紐のように絡み合った分子でできています。溶融樹脂は分子が自由に動ける状態ですが、冷えて固化すると分子が動かない状態になり製品の形状になります。

結晶性樹脂は部分的に結晶構造になっているのではなく、冷却される際に、分子が規則正しく配列した状態「結晶化」になり「結晶」がつくられます。結晶性樹脂は冷却の際に全てが結晶化されるのではなく、冷却される過程によって、結晶化の割合(結晶化度)が変化します。ゆっくり冷却されると結晶化が進み、樹脂の収縮率は大きくなり、急冷すると結晶化しにくくなり、収縮率は小さくなります。

つまり、樹脂材料によって成形収縮率は異なりますが、その要因としては冷却速度の違いにあると言えます。冷却速度は金型温度によっても違うため、材料の特性を十分理解し、物性変化に注意して成形条件の調整する必要があります。

 

>>射出成形後の収縮率には、どのような要素が影響しますか?