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一般的に射出成形の「ヒケ」とは、成形品の表面がへこんでしまう外観不良のことです。肉厚成形品やリブ部に多く見られます。また成形品の表面には現れず、中心部に真空の空洞が生じる「真空ボイド」と呼ばれるヒケもあります。どちらも現象は違っても発生原因は同じで、成形品の外部に出るか、内部に出るかの違いです。
ヒケができるメカニズムは、シリンダー内で溶融された樹脂が金型内に充填され、冷却されると樹脂は収縮が始まります。この時、体積収縮が起こります。肉厚部とその他の部分の厚さの違いにより収縮の差が生じ、ヒケとして現れます。肉厚成形品やリブ部に多く発生するのは、この体積収縮の差のためです。成形時の成形品表面の樹脂は、冷却過程で肉厚部の中心方向に引き寄せられて収縮します。そのため、肉厚部では収縮が大きくなり、成形品の表面がへこみ、「ヒケ」が現れます。反対に「真空ボイド」は溶融樹脂が急冷されると、肉厚部の中心部は成形品表面部より冷却が遅くなり、中心部は表面側に引き寄せられて収縮します。そのため、中心部に空洞が発生します。成形品表面部と中心部の冷却速度の違いによって「ヒケ」や「真空ボイド」の発生が変化します。