スピンカラム(遠沈管)とは?

スピンカラム(遠沈管)とは、遠心分離機を使って行われる実験や臨床検査などで主に使用されるプラスチックまたはガラス製の容器のことです。また、底の部分が円錐状でとがっているものをスピッツ管とも呼ばれています。

スピンカラムは、医療業界において多岐に渡る重要な役割を果たしています。スピンカラムの具体的な役割としては、主に下記のようなものがあります。

■臨床検査(血液検査)

臨床検査においてスピンカラムは、血液や尿などのサンプルを採取するために使われます。正確かつ信頼性の高い検査結果を提供するために、スピンカラムは必要不可欠な製品であり、医療現場で広く利用されています。

血液検査においては、遠心分離機を用いて、血液成分の分離に使用されます。血液を遠心分離機の高速回転にかけると 血球成分がスピンカラムの底に沈み、血漿成分が上澄みとなります。

各成分を分析することで、病気の診断や治療方針の決定が可能となります。このようにスピンカラムは、尿沈渣や細胞診検査等でも病原体や異常細胞の検出に貢献しています。

■医学研究

医学研究においてスピンカラムは、細胞、タンパク質、核酸などのサンプルを密度に基づいて分離するために使用されます。スピンカラムは、ポリプロピレンなどの耐久性のある素材で主に作られており、高速回転によってサンプルの効率的な沈降や分離が可能になります。多くの実験のバックボーンとしての役割を果たしているスピンカラムは、生物学、創薬や病気の診断、さらなる治療法の開発においても不可欠となっています。

このように医療業界において重要な役割を担っているスピンカラムですが、遠心分離機とは密接な関係にあり、この2つの組み合わせによって効率的な成分の分離と分析が可能になります。

遠心分離機の仕組み

遠心分離機の仕組みについては、自然沈降と遠心沈降の大きく2パターンがあります。


通常、分離は自然沈降によって時間経過とともに重力によって比重の重い固形物が沈降します。しかし、遠心分離機では、原液に回転を与えることで遠心力を発生させ、自然沈降よりも短い時間で分離をします。

スピンカラムの製作におけるポイント

ここでは、特に医療現場で使用されることが多いプラスチック製のスピンカラムに限定しますが、プラスチック製スピンカラムの製作におけるポイントは大きく3つございます。

①材質(耐久性)

プラスチック製のスピンカラムの製作において使われる材質としては、主にポリプロピレンや、透明度が高いポリスチレンが使用されています。ポリプロピレン(PP)は、薬品に対する耐性も高く、また遠心分離機にかける際に重要となる耐遠心性にも優れています。

>>ポリプロピレン(PP)について

>>ポリスチレン(PS)について

②設計(気密性)

設計において、スピンカラムの気密性は重要な指標となってきます。気密性は、安全性やサンプルの保護の観点でも重要ですが、スピンカラムの気密性が高いことで、遠心分離時のカラム内部の圧力が安定し、均一な遠心力を作ることができます。そのため、スピンカラムの本体とキャップの嵌合性をどれだけ高くすることができるかが、高品質なスピンカラムの製造におけるポイントの1つと言えます。

③フィルター組み込み型スピンカラム

カタログにはない特殊なスピンカラムには、カラム内にフィルターが組み込まれた製品が多く存在しています。各医療機器メーカーが特殊な機能性を持つフィルターを開発し、カラムに組み込むことで、他社とは差別化されたオリジナルのスピンカラムを開発しています。

このようなフィルター組み込み型スピンカラムを製作する際は、医療機器メーカーが成形メーカーに特殊な濾過フィルターを支給し、成形メーカーがインサート成形または成形後のアセンブリを行うことがほとんどです。そのため、いかにフィルターが組み込みやすく、かつフィルターの機能性を最大限高めることができ、さらに成形性も良いスピンカラムの形状になるように製品設計することができるかどうかが、特殊なスピンカラムを製造する上でポイントの1つとなります。
 

親和工業だからこそ可能な特殊スピンカラムの設計・製造

当サイトを運営する親和工業株式会社では、カタログにはない特殊な医療用スピンカラムの製造を数多く行っており、これまでに数々の国内大手メーカーの開発エンジニアからも「困ったときは親和工業様に相談させていただきます」という駆け込み寺的な存在として、様々なご相談に応じてまいりました。そのような当社だからこそ可能な特殊スピンカラムの設計・製造におけるポイントは、主に下記の通りです。

設計提案~試作開発~量産まで一貫対応

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>>医療用プラスチック製品の事例一覧はこちら

高い嵌合性の医療用プラスチック成形

親和工業では、特にプラスチック製品同士の嵌合性について、お客様より高い評価をいただいております。キャップの嵌合性や、チップのキャップの嵌め合い等、相手製品の寸法公差や成形時の収縮も考慮した上で、当社がプラスチック製品の金型設計から責任を持って対応いたします。

>>金型設計・製作と流動解析による提案

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このような環境を整備しているため、当社にはスピンカラムの他にも、細胞培養容器や採血デバイス等の、遺伝子解析・治療関連のプラスチック製品開発について、日々ご相談をいただいております。

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