Before (改善前)

チップを収納するラックのような四角型容器のプラスチック射出成形品を製作する際、コーナー部分だけが他の箇所に比べて熱量が多くなるので、冷却に時間がかかってしまいます。そのため、四角型容器のコーナー部分を起点としてソリが発生することがあります。ソリが発生すると、チップケースのような容器の場合では蓋との嵌合が合わなくなってしまうので、その組み立て作業に多くの工数が必要となり、その作業分、製品のリードタイムも長くなってしまいます。

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After (改善後)

四角型容器のプラスチック射出成形品の場合、そのコーナーを薄肉に設計変更することで、冷却効率をあげ、ソリの発生を防ぐことが可能となります。コーナー部と側面の肉厚をR形状で薄肉にしたり、角をCカットにする方法があります。プラスチック射出成形においては金型設計技術や成形技術も出来上がり製品のコストに大きく影響を与えますが、本事例のように、製品設計段階にて少し工夫を行うことで高い品質のプラスチック射出成形品を安定して製造することが可能となります。

POINT(要約)

医療用に使用されるチップケースのような、プラスチック射出成形の四角型容器のコーナーを薄肉に設計変更する場合の注意点としては、コーナー部分の肉厚を薄くしすぎると強度不足が発生したり、充填バランスが悪くなってしまいます。強度不足と充填バランスは使用するプラスチック樹脂の強度や流動性にもよりますので、製品設計時には使用するプラスチック樹脂の性質を考慮した上で、プラスチック射出成形の条件を決定する必要があります。