フェムテックとは、女性(Female)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語で、女性特有の問題や悩みを解決するための製品やカウンセリングといったサービスなどの総称です。具体的には、生理や妊娠、出産、育児、更年期障害といった多くの女性が抱える問題を解決、または軽減させるのが目的となります。この分野に関しては、長年、男性中心で女性が声を上げにくい社会構造が構築されてきたこともあり、あまり発展しているとは言えませんでした。しかし近年、女性の社会進出が増え、女性特有の問題に対して理解されるようになったことや、深刻な人手不足解消のための女性の労働力の活用、といった目的のためにも、多くの企業、自治体において、積極的に推進されるようになりました。

 

 フェムテックの中でも特に現在進んでいるのが、不妊治療です。一般的に不妊症とは、妊娠を希望している夫婦が一年間の性生活で妊娠しないことと定義されています。不妊治療の治療法には、大きく分けて人工授精等の一般不妊治療と体外受精や顕微授精などの生殖医療(高度生殖補助医療)があります。

『一般不妊治療』

  • タイミング療法:基礎体温や超音波検査、尿LH値などから排卵日を予測し、医師が性交渉のタイミングを指導する最も自然妊娠に近い治療法
  • 人工授精:採取した精液を洗浄濃縮し、女性の排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入する治療法 授精から妊娠までは自然妊娠と同じ過程であるため限りなく自然妊娠に近い

 

『高度生殖補助医療』

  • 体外受精:体内から採取した卵子を体外で精子と受精させ受精卵を培養し、良好な胚を子宮内に戻す治療法
  • 顕微授精:細いガラス針を使って精子を1匹だけ顕微鏡で確認しながら採取した卵子に直接注入し授精させる治療法
  • 凍結胚・融解移植:体外受精によって得られた胚を凍らせて保存し、胚を溶かして移植する治療法

 

 生殖補助医療は環境設備の整った大学病院などでしか治療が受けられませんでしたが、近年、技術の向上や試薬、器具の安定により、専門クリニック等での治療も可能なレベルに発展しています。厚生労働省によると17人に1人が生殖医療により誕生したとされており、今後更に妊娠率の向上が期待される不妊治療法と言われています。

 また不妊治療における費用は検査と一部治療以外は保険適用外のため、不妊治療を望む夫婦には経済的負担が大きいものでしたが、令和4年4月より保険適用になり、安心して治療が受けられるようになりました。