射出成形の不良率を下げるために重要な「スクリュー・金型の分解メンテナンス」

射出成形において、安定した品質を継続するためには、成形条件の管理だけでは十分ではありません。
同じ材料、同じ金型、同じ成形条件で生産していても、長期間にわたって生産を続けることで、スクリューや金型内部には少しずつ汚れや樹脂の残留物、ガス成分などが蓄積していきます。
こうした「目に見えにくい変化」が、黒点・異物・焼け・ガス・充填不良・外観不良などにつながることがあります。
医療の成形品では、生地ゴミや黒点などの異物はもちろん許されません。薄肉な製品が多く、チップの先端径が細くなればなるほどガス逃げが悪くなり、成形条件の変更だけでは太刀打ちできなくなります。
不良が発生してから清掃するのではなく、設備や金型を良好な状態に維持し、不良を未然に防ぐ。
そのために重要なのが、スクリュー分解メンテナンスと金型分解メンテナンスです。
なぜスクリューの分解メンテナンスが必要なのか
射出成形機のスクリュー・シリンダー内部は、日常点検では直接確認することが難しい部分です。
生産終了時にパージ材を使用して洗浄していても、長期間使用していると、スクリュー表面や逆流防止機構、三点セット周辺に樹脂や劣化物が残留する場合があります。
特に、材料変更や、高温(320℃~)で成形する材料を使用する設備では、内部の状態が製品品質に影響する可能性があります。
蓄積した樹脂が炭化して剥離すれば、黒点や異物不良の原因になります。
また、スクリューやチェックリングなどの摩耗が進行している場合には、計量や射出量の安定性にも影響し、成形条件を調整しても品質が安定しない原因となることがあります。
そのため、パージ材による日常的な洗浄だけではなく、樹脂が変わるタイミングでのスクリュー、三点セット、ノズルを分解し、内部クリーニングをすることを推奨します。

金型も「外から見える部分」だけでは判断できない
金型についても同様です。
日常的な金型メンテナンスやグリスアップだけでは、金型の割ってあるコマの汚れをすべて確認することはできません。
長期間成形を続けることで、ガスベントやPL面、入れ子、スライド、エジェクターピン周辺、冷却回路などには少しずつガスや擦れによる汚れが生じます。
例えば、ガスベントに樹脂成分や汚れが蓄積すると、金型内のガスが抜けにくくなります。
その結果、
ガス焼け、ショートショット、転写不良、外観不良
などにつながる可能性があります。
このような状態で成形条件だけを変更して対応すると、一時的に改善しても根本的な原因が残ってしまうことがあります。

金型分解メンテナンスで確認するポイント
定期的な金型分解では、例えば次のような部分を確認します。
- キャビティ・コアの汚れや傷
- PL面の状態
- ガスベントの詰まり
- エジェクターピンの汚れ・摩耗
- スライドや可動部の摩耗
- 入れ子周辺への樹脂・ガス成分の付着
- ゲート・ランナー周辺の状態
- 冷却回路の状態
- ボルトや各構成部品の異常

特に重要なのが、不良が発生する前の状態変化を把握することです。
「製品に不良が出たから金型を分解する」のではなく、ショット数や生産期間など一定の基準を設けてメンテナンスすることで、突発的な品質トラブルを減らすことができます。
「成形条件を変える前に設備・金型を疑う」という考え方
射出成形で不良が発生すると、射出速度、保圧、樹脂温度、金型温度などの成形条件を変更して改善しようとするケースがあります。
もちろん成形条件の調整が必要な場合もあります。
しかし、それまで安定していた条件で突然不良が増え始めたのであれば、設備や金型側に何らかの変化が起きていないかを確認することも重要です。
例えば、ガスベントが徐々に詰まっているにもかかわらず、射出速度を下げることで対応すると、一時的には不良が改善するかもしれません。
しかし、それは根本的な改善とはいえません。
スクリュー・金型・材料・成形条件をそれぞれ切り分けて原因を追究することが、安定した射出成形には必要です。
につながります。
医療用プラスチック成形だからこそ重要な予防保全
医療用途のプラスチック製品では、寸法精度だけでなく、異物、黒点、外観品質などについても高い品質管理が求められる製品があります。
そのため、完成した製品を検査するだけではなく、成形機・金型を含めた製造工程全体を安定した状態に保つことが重要です。
クリーンルーム内での、スクリューや金型の分解メンテナンスは、生産を止めて行わないと作業できません。したがって、作業効率が落ちると思われがちですが、不良による選別、廃棄、再成形、原因調査、金型修理などの時間まで考えると、計画的な予防保全は安定生産のための重要な活動の一つといえます。
安定した品質を継続するために、日々の点検に加え、段取り時には必ずスクリュー分解メンテンスを行い、段取り前には必ず金型の分解メンテナンスを実施します。
私たちは「不良が発生してから対応する」のではなく、設備・金型・材料・成形条件それぞれの状態を管理し、不良をつくらない成形工程づくりを重視しています。
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多数の特許や特級技能士の技術力を強みに、流動解析を駆使した3D金型設計、開発・試作段階でのVA/VE提案から、PCR検査による高度な品質保証を伴う量産まで一貫対応いたします。
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