セルカウンタープレートとは?血球計算盤との違いと使い捨てプレートの成形を解説!

細胞計数の自動化が進み、多くのラボで自動セルカウンターが使われるようになりました。その測定精度を実は大きく左右しているのが、細胞懸濁液を保持する消耗品「セルカウンタープレート」です。装置メーカー様からは「専用プレートの安定供給先を確保したい」というご相談を、私たち親和工業もいただくようになりました。本コラムでは、セルカウンタープレートの定義、血球計算盤との違い、使い捨てプレートに求められる品質、そしてカスタムプレート開発の進め方を解説します。
セルカウンタープレートとは?
【定義】 セルカウンタープレートとは、自動セルカウンターに試料をセットするための、使い捨ての計数チャンバー付きプレート(スライド)のことです。
自動セルカウンター用の使い捨て計数プレート(スライド)
セルカウンタースライド、カウンティングスライドなどとも呼ばれます。細胞懸濁液をプレートのチャンバーに充填して装置に挿入すると、装置が画像を取得して細胞数・濃度・生存率などを自動算出します。1回の測定ごとに使い捨てるため、洗浄が不要で、試料間の持ち越し汚染も起こりません。
血球計算盤(手動計数)との違い
血球計算盤は、顕微鏡下で人が目視計数するための伝統的なガラス器具です。原理(決まった体積の中の細胞を数える)は同じですが、セルカウンタープレートは「装置が読み取る」ことを前提に設計された使い捨て消耗品という点が異なります。人による計数ばらつきがなく、多検体処理に向く一方、装置とプレートがセットで精度を作るため、プレート単体の寸法品質がより厳しく問われます。
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自動セルカウンターでの役割と仕組み
【ポイント】 セルカウンタープレートは「装置の光学系の一部」であり、チャンバーの厚みが測定値の土台になります。
チャンバー厚みで体積を規定し画像解析で計数する流れ
自動セルカウンターは、プレートのチャンバー厚み(深さ)で規定された体積の中にある細胞を撮像し、画像解析で個数を数えて濃度に換算します。つまり、チャンバー厚みが設計値からずれると、装置がどれほど高性能でも濃度算出はずれます。また、撮像光路にあたるプレート面の透明性・平面性が悪いと、細胞の認識精度そのものが低下します。プレートは消耗品でありながら、装置の測定精度を支える光学部品でもあるのです。
使い捨てプレートに求められる品質
【ポイント】 セルカウンタープレートの品質は、寸法精度・光学品質・清浄度の3点で決まります。
チャンバー深さ・平面度・透明性の精度
チャンバー深さのロット内・ロット間バラつきは、そのまま測定値のバラつきになります。射出成形では、樹脂の収縮やソリが深さと平面度に影響するため、量産条件でも寸法が安定するよう金型段階から作り込む必要があります。撮像部の透明性を確保するため、ウェルドラインやヒケを光路から外す設計も欠かせません。
RNase/DNaseフリー・クリーン成形
チャンバー内の塵埃は細胞と誤認識される可能性があり、計数エラーの原因になります。また、計数後の細胞を遺伝子解析に回すワークフローでは、RNase/DNaseなどの分解酵素の混入も許されません。これらの酵素は熱に強く通常の滅菌では不活化できないため、清浄な環境で成形し、検査で不検出を証明する体制が必要です。
カスタムプレート開発の進め方
【ポイント】 装置専用プレートの開発は、金型設計→試作→量産の各段階で「装置との擦り合わせ」を行うことが成功の鍵です。
金型設計(微細転写・薄肉流動)と試作→量産
チャンバー構造は薄肉かつ微細なため、樹脂が末端まで安定して流れる充填設計が必要です。当社では、ポンチ図や構想段階から打ち合わせを始め、3D-CADと流動解析で深さ・平面度への影響を事前にシミュレーションした上で金型を設計します。試作品で装置側の読み取り評価を行い、その結果を成形条件と金型にフィードバックして量産へ移行する進め方が、手戻りを最小にします。
キット組立・包装までの一貫対応
プレートは、包装やラベリングまで済ませて初めて製品になります。成形後の組立・包装を一般環境で行えば、せっかくのクリーン成形が台無しになるため、包装までをクリーン環境で一貫できる体制が望ましいと当社は考えています。
チャンバー精度を保証する、親和工業の微細成形と品質検査体制
【ポイント】 私たち親和工業は、微細構造の量産精度と清浄度の証明を両立する体制で、セルカウンタープレートの開発に対応しています。
微細転写・薄肉流動に対応する3D金型設計
業界に先駆けて導入した3D-CADと流動解析により、薄肉チャンバーの充填パターンと収縮を設計段階で検証します。μm単位の細溝構造を持つマイクロ流路チップ(PMMA製・26mm×76mm)で培った微細転写・平面度確保の技術は、計数プレートの品質要件とそのまま重なります。国家資格最上位の特級プラスチック成形技能士2名が、量産条件の安定化まで追い込みます。
リアルタイムPCRによるRNase/DNaseフリーのロット検証
ThermoFisher製リアルタイムPCRシステム「QuantStudio® 5」を社内に完備し、成形ロットからのサンプリング検査でDNAフリー・RNaseフリー・DNaseフリーを実測検証しています。遺伝子解析ワークフローに組み込まれるプレートでも、清浄度をデータで保証できます。
キット組立・充填・滅菌手配までの一貫対応
埼玉県川口市の自社工場内、クラス10,000クリーンルームでの成形に加えて、アッセンブリ、ラベリング、シーリング、包装までをクリーン環境で承ります。滅菌については社外協力会社へ委託する形で対応しています。個包装など包装形態のご要望は、形状と数量に応じてご相談ください。射出成形機11台により、ロット1,000個から100万個レベルの量産に対応します。
ライフサイエンス機器向け消耗品の開発実績
守秘義務の関係で詳細はお出しできませんが、ライフサイエンス・検査分野では、自動血液吸引装置向けの薄肉チップ(PP製・φ8.0×100mmなど)、遺伝子解析装置向け試薬カートリッジ(PP製・180mm×50mm×75mm)、マイクロ流路チップ(PMMA製)などの装置用消耗品の開発・量産実績があります。「装置とセットで精度を作る使い捨て部品」は、当社が繰り返し手掛けてきた領域です。
検査用反応プレート

医療用検査装置専用に設計された、40×50×9mmの反応プレートです。高い平面度を持つ部分と薄肉部が混在し、流れにくい特殊樹脂でも安定充填できるよう、射出成形金型を設計・製造しています。
マイクロ流路チップ

PMMA製・26×76mmのマイクロ流路チップです。50~100μm程度の微細な溝へ試薬をスムーズに流すため、高い平面度と磨き品質が求められます。製品設計から樹脂金型の自社設計まで対応しています。
試薬カートリッジ

PP製・180×50×75mmの試薬カートリッジです。容器部のウェルド、穴、反りを抑え、上部のフィルムやシールを安定して貼り付けられる形状としています。試薬の封入、シール貼り付け、滅菌手配までご相談いただけます。
薄肉チップ

PP製・φ8.0×100mmの医療用分注チップです。口元0.3mm、先端側0.7mmの肉厚差を持つ形状に対し、ウェルドラインを抑えるための製品設計段階からの品質向上提案を行っています。
セルカウンタープレートの開発・量産なら、親和工業にお任せください
自社のセルカウンター専用プレートを開発したい、海外調達しているプレートを国産化したい――そうしたご要望がございましたら、ぜひ親和工業へご相談ください。海外製品の国産化サポート(金型移管・再設計)にも対応しています。お問い合わせの際には、想定形状(ポンチ図・図面・3Dデータ)、チャンバーの要求精度、想定数量、包装形態のご希望をご教示いただけますと、特級プラスチック成形技能士を交えてスムーズにご回答できます。装置の測定精度を支えるプレートづくりを、開発パートナーとしてサポートいたします。
よくある質問
Q. 装置側の画像解析との相性評価は、どの段階で行えばよいですか?
A. 試作段階での読み取り評価をおすすめしています。評価結果を金型・成形条件にフィードバックしてから量産に入ることで、手戻りを防げます。
Q. 海外製プレートの国産化(金型移管)は可能ですか?
A. はい、対応しています。既存金型の移管から、品質課題がある場合の再設計まで、国産化サポートの実績があります。
この記事を書いた人

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親和工業の医療用プラスチック成形を支える、社歴20年の現場技術担当です。
私の強みは、流動解析を用いた3D金型設計から、現場での成形オペレーション、高精度な検査、そして梱包出荷に至るまで、射出成形のすべての工程を自ら泥臭く経験してきたことです。
各工程のメリット・デメリットを骨の髄まで理解しているからこそ、開発・設計段階での確実なVA/VE提案や、手戻りのないスムーズな試作・量産化が可能です。
特級技能士の技術力と、クラス10,000のクリーンルーム、最新のPCR品質保証体制を掛け合わせ、世界の医療を支える高品質なプラスチック製品をお届けします。
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