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血液分析装置・検査キット向けプラスチック部品の成形とは?求められる品質と外注先選定のポイントを解説!

血液分析装置と検査キット向けプラスチック部品を表すコラムバナー

血液分析装置や体外診断(IVD)キットの開発において、検体や試薬に直接触れるプラスチック部品の品質は、検査データの信頼性を左右する重要な要素です。しかし、「量産を任せられる成形メーカーが見つからない」「コンタミネーションのリスクをどこまで管理できるのか分からない」というお悩みを、装置メーカー・キットメーカーの開発担当者様からよくお聞きします。本コラムでは、血液分析用途のプラスチック部品に求められる品質、材質選定の考え方、そして成形外注先を選ぶときのポイントを、医療用プラスチック成形を専業とする私たち親和工業が解説します。

血液分析装置・検査キットに使われるプラスチック部品とは?

【定義】 血液分析装置・検査キット向けプラスチック部品とは、血液や試薬と接触する消耗品と、装置を構成する機構部品の総称です。

血液分析の現場で使われるプラスチック部品は、大きく2つに分けられます。

検体と接触する消耗品(チップ・キュベット・セル・チューブ)

1つ目は、血液や試薬に直接触れる使い捨ての消耗品です。血液吸引用のピペットチップ、吸光度測定に使うキュベットやセル、検体を保持するチューブや反応容器などが該当します。検体と接触するため、異物や汚染物質の管理レベルがそのまま検査結果の品質に直結します。

>>医療用チップの種類一覧

装置内部の機構部品・流路部品

2つ目は、装置内部で液体を送る流路部品や、試薬カートリッジ、ハウジングなどの機構部品です。消耗品ほどの頻度で交換されない一方、寸法精度や耐薬品性など、長期の安定動作を支える品質が求められます。

当社にご相談いただいた事例でも、「市販の汎用消耗品では自社の自動装置と嵌合が合わない」「専用形状のカスタム品を作りたい」というご要望が出発点になるケースが多くあります。

血液分析用途のプラスチック部品に求められる品質

【ポイント】 血液分析用途では、一般的な工業部品と同じ「寸法が合っていること」だけでは不十分で、目に見えない汚染の管理が同じくらい重要になります。

コンタミネーション防止(クリーンルーム成形)

検体と接触する部品に塵埃や異物が付着していると、測定ノイズや検査エラーの原因になります。成形の段階から清浄度管理された環境、すなわちクリーンルームでの成形が前提となります。

>>クリーンルーム成形(クリーン成型)とは?クラスの意味からメリットまで解説

RNase/DNaseフリー・エンドトキシン管理

遺伝子検査を伴う血液分析では、DNA・RNAを分解する酵素(DNase/RNase)の混入が偽陰性などの致命的なエラーを引き起こします。RNaseなどの酵素は熱に強く、一般的な滅菌処理では不活化できません。だからこそ、「そもそも酵素が存在しない環境で成形し、それを検査で証明する」体制が必要です。当社では、ThermoFisher製のリアルタイムPCRシステム「QuantStudio® 5」を用いて、ロット単位でDNA・RNase/DNaseの不検出を検証しています。

寸法精度と透明性(光学測定への影響)

吸光度や散乱光で血液を分析する装置では、光が通る部品の肉厚バラつきや面の乱れが測定値に影響します。金型設計の段階から偏肉やウェルドライン(樹脂の合流線)を抑える設計が求められます。ただし、要求される精度は装置の測定方式によって異なるため、すべての部品に最高レベルの光学品質が必要とは限りません。過剰品質はコスト増につながるため、用途に応じた品質設定が大切だと当社は考えています。

材質選定の考え方

【ポイント】 血液分析用途の材質選定は、透明性・耐薬品性・成形性のバランスで決まります。

PS・PMMA・PC・PP・COPなど光学・耐薬品性での使い分け

光学測定部にはポリスチレン(PS)やアクリル(PMMA)などの透明性が高い樹脂が、耐薬品性や耐遠心強度が求められる部位にはポリプロピレン(PP)が使われるのが一般的です。ポリカーボネート(PC)はガラス並みの透明性と耐衝撃性を持ちますが、アルカリ性薬品でクラックを起こしやすいため、接触する試薬との適合確認が欠かせません。

樹脂透明性耐薬品性主な用途・注意点
PS(ポリスチレン)高い有機溶剤に弱いディスポセル・キュベットなど光学測定部。安価で成形性が良い
PMMA(アクリル)非常に高いアルコール類でクラックの懸念光学部品。PSより短波長側の測定に対応しやすい
PC(ポリカーボネート)高いアルカリ性薬品でクラックしやすい耐衝撃性が必要な部品。接触する試薬との適合確認が必須
PP(ポリプロピレン)低い(半透明)高いチューブ・反応容器・遠心にかける部品など、耐薬品性と強度を優先する部位
COP/COC(環状オレフィン系)非常に高い高い紫外域の光学測定や低溶出が求められる部位。材料単価は高め

※同じ樹脂でもグレードによって特性は変わります。実際の選定は、接触する試薬・測定波長・滅菌方法をあわせてご検討ください。

メディカルグレード樹脂と規格

海外輸出を見据えた製品では、FDAやUSP Class VIといった規格に準拠した材質の指定が求められる場合があります。当社では、こうした規格準拠材の調達を含めたご相談にも対応しています。材質ごとの適合範囲は樹脂グレードによって異なるため、仕様書の段階で要求規格を明確にしておくことをおすすめします。

また、検体や生体に接触する部品では、医療機器の生物学的安全性評価の国際規格であるISO 10993-1の考え方に沿って、接触の種類と期間からどの評価が必要かを整理しておくと、後工程の手戻りを防げます。材質の規格適合と、部品としての安全性評価は別物である点にご注意ください。

>>プラスチックの薬品耐性について

成形外注先を選ぶときのポイント

【ポイント】 血液分析向け部品の外注先は、「成形ができること」ではなく「医療品質を証明できること」を基準に選ぶ必要があります。

  • ISO13485認証と医療機器製造業の許可・登録/医療品質を仕組みとして証明できる体制があるか。
  • クリーンルームのクラスと運用/数字だけでなく、入退室・清掃・持ち込みの運用ルールまで確認します。
  • 汚染の検証方法/DNAフリー・RNase/DNaseフリーを、どの方法でロット単位に検証しているか。
  • 開発初期からの関与/材質選定・形状検討の段階から相談できるか。量産後の手戻りを大きく減らせます。
  • 対応できるロット規模/試作から量産までの数量レンジが、自社の生産計画と合っているか。
  • 成形後の工程範囲/検査・組立・包装まで一貫して任せられるか。工程が分かれるほど汚染機会は増えます。

ISO13485・医療機器製造業許可の有無

医療機器の品質マネジメントシステムであるISO13485の認証、そして医療機器製造業・製造販売業許可の有無は、最初に確認すべきポイントです。ISO9001だけでは、医療機器に固有のトレーサビリティやリスクマネジメント要求はカバーされません。

>>ISO13485とISO9001の違いとは?医療機器プラスチック成形で求められる品質基準を解説

クリーンルームのクラスと品質検査体制

クリーンルームの清浄度クラスに加えて、「何を・どうやって検査して品質を証明しているか」を確認してください。クリーンルームで作っているから大丈夫、という推測ベースの管理と、PCR検査などの実測データで証明する管理とでは、信頼性がまったく異なります。

金型設計から組立・滅菌手配まで一貫対応できるか

検査キットは、成形品単体ではなくキットとして完成して初めて製品になります。成形だけでなく、金型設計、組立・充填、滅菌手配、包装まで一貫して任せられるかどうかで、開発担当者様の管理負荷は大きく変わります。

検体と向き合う品質を実現する、親和工業のクリーンルーム成形と「3つのフリー」保証

【ポイント】 私たち親和工業は、血液分析・検査分野の要求品質に応えるため、クリーン環境・検査体制・許認可の3つを社内に揃えています。

クラス10,000クリーンルームでの成形・検査・包装の一貫運用

埼玉県川口市の自社工場内に、常時陽圧管理されたクラス10,000のクリーンルームを完備し、材料供給から射出成形、検査、包装までを同一クリーン空間内で一貫運用しています。射出成形機11台を配置し、ロット1,000個から100万個レベルの量産に対応します。

リアルタイムPCR「QuantStudio® 5」によるDNAフリー・RNase/DNaseフリーのロット検証

成形ロットからサンプリングし、リアルタイムPCRでDNAフリー・RNaseフリー・DNaseフリーを実測検証しています。不検出データを品質データとしてお客様に共有できる体制は、国内のプラスチック専業成形メーカーでも極めて稀であると自負しています。

>>「DNAフリー」とは?生殖医療や遺伝子解析に必要な3つのフリーについて

医療機器製造業・製造販売業許可とISO13485に基づく品質管理

当社は医療機器製造業許可・第二種医療機器製造販売業許可を取得し、ISO13485に準拠した品質管理体制のもとで製造を行っています。薬事申請を見据えた製品化のご相談にも、事務手続きの観点から対応可能です。

血液分析・検査分野の開発実績

当社は取引先との守秘義務があるため詳細をお出しできませんが、血液分析・検査分野では次のような開発・量産実績があります。

医療用薄肉チップ・試薬カートリッジ等の事例

自動の血液吸引装置に組み込まれる薄肉チップ(PP製・φ8.0×100mmなど)は、抜きテーパーを極限までゼロに近づけながら肉厚を均一に保つ金型技術で量産しています。また、遺伝子解析装置にセットされる試薬カートリッジ(PP製・180mm×50mm×75mm)では、多点ゲート成形により複雑なリブと隔壁を充填不足なく成形し、薬液の密閉性を確保しました。

>>製品事例・ケーススタディ一覧はこちら

血液分析装置・検査キット部品の開発なら、親和工業にお任せください

血液分析装置や検査キットの専用プラスチック部品を開発したい、市販品では要求品質を満たせない――そうしたプロジェクトがございましたら、ぜひ一度、親和工業へご相談ください。お問い合わせの際に、想定形状(ポンチ図・図面・3Dデータ)、ご希望の材料、想定生産数量、金型の有無をご教示いただけますと、特級プラスチック成形技能士を交えてスムーズにご回答できます。検査データの信頼性を支える部品づくりを、開発パートナーとして誠心誠意サポートいたします。

よくある質問

Q. 検体と接触する部品のRNase/DNaseフリーは、どのように保証してもらえますか?

A. クラス10,000クリーンルームで成形したロットからサンプリングし、リアルタイムPCRシステムで不検出を実測検証します。品質データの共有も可能です。

Q. 試作数量が少なくても相談できますか?

A. はい、可能です。当社はロット1,000個からの量産を得意としており、試作段階からのご相談も歓迎しています。まずは想定形状と数量をお知らせください。

この記事を書いた人

親和工業株式会社 技術スタッフ
親和工業株式会社 技術スタッフ
親和工業の医療用プラスチック成形を支える、社歴20年の現場技術担当です。

私の強みは、流動解析を用いた3D金型設計から、現場での成形オペレーション、高精度な検査、そして梱包出荷に至るまで、射出成形のすべての工程を自ら泥臭く経験してきたことです。

各工程のメリット・デメリットを骨の髄まで理解しているからこそ、開発・設計段階での確実なVA/VE提案や、手戻りのないスムーズな試作・量産化が可能です。

特級技能士の技術力と、クラス10,000のクリーンルーム、最新のPCR品質保証体制を掛け合わせ、世界の医療を支える高品質なプラスチック製品をお届けします。

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