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クリーンルーム成形(クリーン成型)とは?クラスの意味からメリット・必要な業界まで解説!

クリーンルーム成形の設備と医療用プラスチック部品を表すコラムバナー

医療機器や体外診断製品の部品調達を進めると、仕様書に「クリーンルーム成形品であること」という要求が登場します。しかし、「クリーンルーム成形と通常の成形は何が違うのか」「クラス10,000という数字は何を意味するのか」を正確に説明できる方は意外と多くありません。本コラムでは、クリーンルーム成形(クリーン成型)の定義、クラスの意味、必要とされる業界とメリット、そして外注先を選ぶポイントを、クラス10,000のクリーンルームを自社工場に持つ私たち親和工業が解説します。

クリーンルーム成形とは?

【定義】 クリーンルーム成形とは、空気中の塵埃や微生物の量が管理された清浄空間(クリーンルーム)内で行う射出成形のことです。

定義:清浄度管理された環境で行う射出成形

一般的な成形工場の空気中には、目に見えない塵埃が無数に浮遊しています。クリーンルーム成形では、フィルターを通した清浄な空気を循環させ、室内の粒子数を管理した環境で成形・取り出し・検査を行うことで、製品への異物付着を根本から抑えます。

通常の成形環境との違い(異物・浮遊粒子・人の管理)

違いは設備だけではありません。人の皮膚や衣服は塵埃とDNA汚染の大きな発生源であるため、クリーンスーツ(無塵衣)の着用、エアシャワーによる除塵、入場者の制限といった運用ルールがセットで必要になります。当社の経験では、設備としてのクリーンルームよりも、こうした日々の運用管理の徹底こそが清浄度を決めると考えています。

クリーンルームの「クラス」の意味

【ポイント】 クラスとは、空気中に浮遊する粒子の数で清浄度を表した等級のことです。

クラス10,000等の清浄度の読み方

「クラス10,000」という表記は、米国連邦規格に由来する伝統的な呼び方で、1立方フィートの空気中に含まれる一定粒径以上の粒子数を基準にした等級です。数字が小さいほど清浄度が高くなります。

クラス1立方フィート中に許容される粒子数(0.5μm以上)成形分野での位置づけ・用途例
クラス100100個無菌操作に近い充填・組立など、特に高い清浄度が必要な工程
クラス1,0001,000個無菌製品に関わる工程や、極めて高い清浄度が求められる成形・組立
クラス10,00010,000個医療機器・体外診断用消耗品の成形で広く採用される水準
クラス100,000100,000個一般的な医療部品の成形や包装工程など、通常環境より高い清浄度が必要な工程

なお、この「クラス○○」という呼称の由来である米国連邦規格FED-STD-209Eは現在すでに廃止されており、国際的にはISO 14644-1/ISO 14644-2に置き換えられています。ただし成形・医療機器の現場では従来のクラス表記が慣用的に使われ続けているため、仕様書でクラスを要求する際は、どの規格に基づく表記かを明記しておくと認識のずれを防げます。

成形で使われる主なクラス帯

半導体工場のような超高清浄度(クラス100以下)までは必要ないものの、医療機器・体外診断消耗品の成形では、クラス10,000前後の環境が実務上の一つの目安になっています。ただし、必要な清浄度は製品の用途とリスクによって異なります。過剰なクラス要求はコスト増に直結するため、当社では用途をお伺いした上で適切なレベルをご提案しています。

>>医療機器製造に必要なクリーンルームのクラス・規格一覧

クリーンルーム成形が必要とされる業界・製品

【ポイント】 「異物が混じると製品の機能や安全性が損なわれる製品」がクリーンルーム成形の対象です。

医療機器・体外診断消耗品

検体に触れるピペットチップ、キュベット、試薬カートリッジ、培養容器などは、微細な異物が検査エラーや医療事故につながりかねません。遺伝子検査に関わる製品では、塵埃だけでなくRNase/DNaseなどの酵素汚染の管理も求められます。

>>血液分析装置・検査キット向けプラスチック部品の成形とは?

医薬品容器・食品包装

医薬品の一次容器や食品に直接触れる包装材でも、異物混入とバイオバーデン(微生物汚染)の管理のため、クリーン環境での成形が採用されています。

クリーンルーム成形のメリットと留意点

異物・コンタミ低減、バイオバーデン管理

最大のメリットは、製品に付着する異物・微生物を製造の入り口から抑えられることです。出荷後の検査工程での不良率が下がり、歩留まりが安定する効果もあります。静電気対策とあわせて運用すれば、成形後の異物吸着も低減できます。

コスト・リードタイムへの影響

一方で、クリーンルームの維持管理と運用ルールにはコストがかかるため、通常成形より製品単価は上がります。すべての部品をクリーン成形にするのではなく、検体接触部品はクリーン成形、外装部品は通常成形、といったリスクに応じた使い分けが現実的です。

外注先を選ぶポイント

【ポイント】 クリーンルーム成形の外注先は、「クラスの数字」だけでなく「運用の中身」と「対応範囲」で見極めます。

クラスだけでなく運用(着衣・清掃・持ち込み管理)を確認する

同じクラス表記でも、入場管理・清掃頻度・段ボール等の持ち込みルールなどの運用レベルには差があります。見学や監査の機会があれば、設備よりも運用ルールの徹底度を確認することをおすすめします。

  • 清浄度の測定方法と測定頻度/クラス表記だけでなく、どのように測って維持しているかを確認します。
  • 人に対する運用ルール/無塵衣の着用、エアシャワー、入退室管理が実際に定められ、守られているか。
  • 資材の持ち込みルール/段ボールや梱包材など、発塵源となる資材の持ち込み制限があるか。
  • 成形後の工程範囲/検査・組立・包装までクリーン環境で完結できるか。
  • 記録の整備/清掃・フィルター管理・清浄度測定の記録が残り、監査時に提示できるか。

成形後の組立・包装までクリーン環境でできるか

せっかくクリーン環境で成形しても、組立や包装を一般環境で行えば、そこで異物が付着します。成形から検査・組立・包装までを同一のクリーン空間で完結できるかどうかは、品質を左右する大きな分かれ目です。

>>医療用チップの種類一覧

親和工業が実現する、クラス10,000環境でのクリーンルーム成形

【ポイント】 私たち親和工業は、埼玉県川口市の自社工場内に、常時陽圧管理されたクラス10,000のクリーンルームおよびクリーンブースを完備しています。

3重フィルター・陽圧管理・エアシャワー等の運用体制

プレフィルター、中性能フィルター、HEPAフィルターの3重フィルターを通過させた清浄な空気のみを絶えず循環させ、室内を常時陽圧に保って外気の流入を防いでいます。作業員はクリーンスーツを着用し、エアシャワーによる除塵を経なければ入場できない動線とし、人に由来する塵埃・DNA汚染を管理しています。

材料供給から成形・検査・包装までの一貫クリーン運用

プラスチック材料の供給から射出成形、ロボットによる取り出し、外観検査、包装・梱包までのすべての工程を、クリーン空間内で一貫運用しています。ご要望に応じて、クリーンルーム内でのアッセンブリ(組立)、試薬充填、シーリング、滅菌手配まで対応可能です。

射出成形機11台によるロット1,000〜100万個の量産体制

クリーンルーム内に射出成形機11台を配置し、高い衛生環境を維持したまま、ロット1,000個から100万個レベルの安定量産に対応しています。リアルタイムPCRシステム「QuantStudio® 5」によるDNAフリー・RNase/DNaseフリーの実測検証まで含めて、清浄度を「データで証明する」体制が当社の特徴です。

クリーンルーム成形の開発実績

守秘義務の関係で詳細はお出しできませんが、医療機器・体外診断・理化学の分野で、自動血液吸引装置向けの薄肉チップ(PP製・φ8.0×100mmなど)、遺伝子解析装置向けの試薬カートリッジ(PP製・180mm×50mm×75mm)、光学測定用のマイクロ流路チップ(PMMA製・26mm×76mm)などをクリーンルーム成形で量産してきました。

>>製品事例・ケーススタディ一覧はこちら

クリーンルーム成形の外注なら、親和工業にお任せください

「検体接触部品の異物クレームを根本から無くしたい」「クリーン環境での成形から組立・包装まで一括で任せたい」――そうしたご要望がございましたら、ぜひ親和工業へご相談ください。お問い合わせの際には、製品の用途と要求清浄度、想定形状、想定数量、包装形態のご希望をお知らせいただけますと、適切なレベルのクリーン成形をご提案できます。ISO13485と医療機器製造業・製造販売業許可に基づく品質管理体制で、貴社の製品品質を支えます。

よくある質問

Q. クリーンルーム内での包装や滅菌も対応できますか?

A. はい、クリーンルーム内での包装に対応しており、滅菌は信頼できる外部機関への手配まで一貫して承ります。

Q. どの程度のクラスを要求すべきか分かりません。相談できますか?

A. はい。製品の用途とリスクをお伺いした上で、過剰品質にならない適切な清浄度レベルからご提案します。

この記事を書いた人

親和工業株式会社 技術スタッフ
親和工業株式会社 技術スタッフ
親和工業の医療用プラスチック成形を支える、社歴20年の現場技術担当です。

私の強みは、流動解析を用いた3D金型設計から、現場での成形オペレーション、高精度な検査、そして梱包出荷に至るまで、射出成形のすべての工程を自ら泥臭く経験してきたことです。

各工程のメリット・デメリットを骨の髄まで理解しているからこそ、開発・設計段階での確実なVA/VE提案や、手戻りのないスムーズな試作・量産化が可能です。

特級技能士の技術力と、クラス10,000のクリーンルーム、最新のPCR品質保証体制を掛け合わせ、世界の医療を支える高品質なプラスチック製品をお届けします。

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