医療用プラスチックの種類と特徴一覧!選定のポイント
1.医療用プラスチックとは
医療分野では、一般工業品と異なり、「生体安全性」「滅菌耐性」「耐薬品性」「透明度」「強度」と成形性を兼ね備えている必要があります。それぞれの用途に合わせて樹脂の選定が非常にポイントとなります。
2.代表的な樹脂の種類と特徴(PP, PC, COPなど)
【PP・ポリプロピレン】
安価で軽量、耐薬品性も高く、オートクレープ対応可能、ヒンジ性にも優れていることから、最も多く使われる医療用樹脂です。主に、シリンジ、セラムチューブ、クライオチューブ、点滴部品や自動機検査のチップやカセットの消耗品などに使用されます。透明性は低く、低温衝撃には弱いので注意が必要です。PPで透明性を出すためには、肉厚で調整したり、金型の磨きなど別の方法で解決することもできます。
【PE・ポリエチレン】
柔軟性や薬品耐性が必要な場合に、選択される樹脂です。柔らかく、耐薬品性が高いことから、ボトルやチューブ、キャップ、薬液容器などに使用されることが多い。ポリエチレンの中にも、LDPE(柔らかめ)やHDPE(硬め)など硬度の種類があるため、一度材料選定の前にサンプルをメーカーから取って確認する事をおススメします。
【PC・ポリカーボネート】
透明性と強度・硬度に優れており、医療分野の中では、PPと並んで使用される場面が多くあります。また、収縮率も低く、寸法再現の高い樹脂です。ガラスに匹敵するほどの透明性を持っており、ガラス製品の樹脂化の際に選定されることもあります。一方で、薬品に弱く、触れると劣化やひび割れを起こすこともあり、透明性に優れているが故に傷もつきやすいのが難点です。
【COP・シクロオレフィンポリマー/COC・シクロオレフィンコポリマー】
COPやCOC樹脂は、近年バイオや医療の分野で急拡大している高機能樹脂です。COPは、純度重視した樹脂、COCは流動性が高く成形性や物性調整しやすい樹脂となっています。
COPは、ガラス同等の透明性ながら、低吸着、低不純物、低溶出が強みで、タンパク質や薬剤がつきにくい為、バイオ医療との相性が良く、マイクロ流路や遺伝子検査チップ、シリンジなどの用途で使用されます。
COCは、流動性が高いため、微細な成形品や微細な転写を必要とした製品の際に選択することが多い樹脂です。マイクロ流路チップや微細分析部品にて使用されます。
3.メディカルグレードに求められる基準
同じPPでも、一般工業用、食品用、医療用では全くグレードも配合管理も異なります。
医療グレードとなると、人体接触時に人に危害が与えられないかなど、「生体適合性」があるかないかがひとつの基準となります。
また、材料によって添加剤の有無や可塑剤、顔料、滑剤などの含量比率等も重要で、微細成分の溶出が問題になるので注意が必要です。
そして、医療製品の場合、大半のものが「滅菌」をかけて最終製品となります。
滅菌方法にもよりますが、滅菌後には、黄変、劣化、クラックや強度低下などの問題が起こりやすい。黄変対策として、ブルーイングされた医療用樹脂なども開発されており、医療グレードの樹脂の中でもラインナップが増えています。
4.製品ごとの適材適所
| 樹脂 | 特徴 | 主な医療用途 |
| PP | 耐薬品性・低コスト・滅菌対応 | シリンジ、チューブ、検査容器 |
| PE | 柔軟性・耐薬品性 | バッグ、キャップ |
| PC | 高透明・高強度 | 呼吸器、筐体、コネクタ |
| COP | 低溶出・低吸着・高透明 | バイアル、PFS |
| COC | 微細成形・高透明 | マイクロ流路、分析チップ |
| ABS | 外観・成形性 | 医療機器筐体 |
| PS | 透明・培養適性 | 細胞培養容器 |
まとめ
医療用樹脂選定の考え方として、下記の手順で確認するのが一般的です。
①滅菌方法が何か確認する。(γ線・EOG・オートクレープなのか)
②その上で、接触対象を確認する。血液なのか薬液なのか細胞、人体など製品が何と接するものなのか。
③その製品の使用環境を確認。(凍結保存など低温環境なのか、自動機で温度を上げたり高温環境が必要なのか、どんな薬品を入れるのか、圧力や遠心力などかかる力があるのか)
④その製品の中で最も重視したいことを確認。(転写性や寸法精度、シール性など)
この手順で確認することで、自然と使用すべき樹脂やグレードが絞られて、最終的に製品を成形後、バリデーションにて材料を最終選定するのが一般的です。